« (12)高靭性タン・モリ焼結体の応用 | メイン | (14)高融点金属の溶融溶接について »
2009年11月 2日
(13) ワイヤー放電加工と金属切断面に生じるマイクロクラック
高融点金属及び高硬度金属材料等の精密加工部品の製造を生業としている当社は、最近、小型で複雑形状の金属部品加工の依頼が多い。このような部品加工ではよく放電加工が導入される。放電加工は工具電極と加工物との間で電気的に微小な放電を頻繁に繰り返し、放電時の熱的作用及び力学的作用により加工物が溶融、蒸発により除去切断される加工方法である。この結果、加工物の切断面においては放電時の熱・力学作用(熱応力)により、金属の種類によって微小亀裂(マイクロクラック)が発生することはよく知られている。この加工法による熱応力は各種金属の引張強度をはるかに超えた応力が発生する。一般にワイヤー放電加工の条件により異なるが、熱応力パラメータが40kW/mを超えるとマイクロクラックが発生する。このため、特に高硬度で結晶粒界の脆弱なタングステン、モリブデン及びこれらの合金等では単結晶材、再結晶材及び変形加工材においても、それぞれへき開面(BCC金属:{100}面)、再結晶粒界、変形粒界面においてマイクロクラックの発生が認められるが、低硬度で結晶粒界が脆弱でないタンタル、ニオブ、アルミでは発生しない。以下の写真にワイヤー放電加工後の各種金属のマイクロクラックの様相を示す。また、一般に金属の熱応力パラメータにより異なるがマイクロクラックの深さは50μm?100μmである(W金属)。現在当社では、このようなマイクロクラックの低減を計るためのワイヤー放電加工の条件を探求している。

投稿者 sunric : 2009年11月 2日 10:55