2005年12月14日
(1)再結晶と成形加工
一般に金属の板、棒、線材等を加熱するとこれらの材料が軟らかくなり、曲げたり、伸ばしたりする(成形加工)ことが容易に出来る。このことを金属学的に説明すると、塑性変形(加工)を受けた金属はそれを構成する原子配列に乱れを生じ(格子欠陥)、局部的に大きなひずみを持つことになり硬化(加工硬化)するが、加熱すると(焼鈍)規則正しい原子配列に戻り、ひずみが開放されて軟化するからである。この時、軟化するまでに至る過程には、ひずみが開放される段階を回復過程、ひずみの開放が終了し新しく規則的な原子配列で構成された結晶粒が出現する段階を再結晶過程という。
ところが、タングステン、モリブデン金属は、鉄および鉄鋼材料をはじめとする多くの金属材料と異なり、加工ひずみが無い再結晶後ではむしろ成形加工が出来ないという不思議な金属である。これは金属学的には再結晶後の結晶粒界が極めて脆いという性質があるからである。これがタン・モリ金属の成形加工製造者を悩まし、難加工材料であるゆえんである。当社はこのようなタン・モリ金属の不思議な特質を長い伝統技術と金属学的な特性を理解することにより克服し、曲げ、プレス、絞りなどによる成形を可能にし、超精密な成形加工製品を創製している。
投稿者 sunric : 16:31